
ぷろろの事業がスタートして満12年になります。ぷろろの原点は「白樺樹液」です。「白樺樹液」の効用を世に広めたいとの願いから出発しました。コンビニで水が売られるようになった35年ほど前のこと。日本では「水」と「空気」と「安全」はタダといわれていました。水道を捻れば出るのに、まさか水が売れるとは誰も思わなかった時代です。そのころ、対岸貿易に熱心だった生活協同組合界のある大先輩が「シベリアにシラカバジュースというものがある。あれを日本で売れば健康にもよいのだが・・」といったのです。そのころの私は現役の仕事が多忙を極めていたので、馬耳東風で聞き流していました。10年ほど経ってその大先輩が亡くなり、ふと思い出して「白樺ジュース」のことを調べてみたのです。驚いたことに、シベリアやフィンランドなどの北欧や東欧諸国、中国や韓国などの北方圏では、白樺のことを「森の看護婦」「聖なる樹」などと呼んで、1000年も昔からその樹液を飲む風習があったのです。現在でいう成人病などの民間療法に用いられていることを知りました。
「へ」の字マークが特徴の白樺
さらに調べていくと、その効果効能の奥深さに興味を引かれ、どんどん白樺樹液にのめり込んでいきました。日本の病院では待合室に老人があふれ、介護制度や医療保険の崩壊が叫ばれていました。欧米の老人は、リタイア後の人生を楽しみにしており、日本のように寝たきりは少ないといわれています。もし白樺樹液が働き盛りの人々や老後の健康に役立つなら、白樺樹液を普及する意義は大きいのではないかと考えたのです。
そこでまず、白樺樹液とはどんな味なのか、どこで売られているのか、どのくらいの値段なのか確かめてみようとしました。しかし、情報が少なく、なかなか白樺樹液自体がみつかりませんでした。軽井沢銀座のあるお店で販売されているとの情報を得て、埼玉県から出かけてお店を探し当てることができました。売られていたのはベラルーシ産の茶色がかった半透明の液体で、無添加とのことでした。さらに長野県御代田町で製造販売されている白樺樹液をみつけ、訪ねていろいろ話を聞くことができました。こちらは長野県産ではなく、東欧から原液を輸入し、自社工場で商品化されていました。またネットでもみつけたので、さっそく取り寄せて飲み比べてみたのです。すると、それぞれ味が違っていました。無添加と謳われながら、酸味などの添加物で味付けされていたのです。いったいどれが本当の白樺樹液の味なのかさっぱりわかりませんでした。
ともかくシベリアから輸入しようと考えて商社などに当たっていると、北方領土問題が騒ぎになり、もし将来、輸入がストップしたら困ると考えて、北海道に電話して片っ端から当たってみたのです。すると量は少ないが北海道でも採取できることがわかり、すぐ北海道へ飛びました。旭川空港からレンタカーで北に向かい、3時間余りかけて美深町仁宇布の松山農場に代表の柳生佳樹さんを訪ねたのです。柳生さんは「羊など、ほかの人がやらないことばかりやっているので苦労してますよ」と笑っていましたが、信念の人と感じました。
白樺樹液を商品化した柳生佳樹さん
この羊牧場は、村上春樹の小説「羊をめぐる冒険」の舞台にもなっていました。本業の傍ら、牧場周辺の自然林で白樺樹液を採取し、日本で初めて事業化に成功した人でした。そもそもの発端は、カナダ旅行で出会ったメープルシロップを作りたいと、母校の北海道大学農学部に寺沢実教授(現名誉教授)を訪ねて相談したそうです。すると寺沢教授は、「日本にはメープルシロップの木がない。いまから輸入して植林していたら、いざ商品ができるころにあんたは死んでるだろう」といわれたそうです。そこで提案されたのが、北海道に無尽蔵に自生する白樺の樹液だったのです。
「羊をめぐる冒険」の舞台とされる柳生さんの民宿「トント」
柳生さんにとって白樺樹液の採取はまったくの手探りでした。いつ採取できるのか、採取はどうやってするのか、加工方法はどうするのかなど、皆目見当がつかず、試行錯誤の連続だったといいます。わかったのはまだ雪が残る春先の、白樺の新緑が出るまえの4週間だけ採取が可能であること、地面から7、80センチの幹にドリルで小さな穴をあけて、管をとりつけてバケツにつないで採取することでした。そしてマイナス10℃以下の雪の上を雪上車で、毎日何百本もの木から樹液を集めて回るという過酷な労働でした。白樺樹液はタンパク質などの養分を含むため、空気に触れると酸化したり腐敗したりするので、加工方法も暗中模索でした。失敗が何年もつづき、何度も投げ出そうと思ったそうです。それでも寺沢教授の指導のもと、二人三脚で、加熱殺菌して無添加で真空のまま瓶詰めする方法を確立したのでした。飲める樹液は1年のうち新緑が出る前の4週間しか採れないので、ここへ辿り着くまでに4年ほどかかったといいます。こうしてようやく無添加・天然飲料の白樺樹液が商品化できたのでした。しかしこれで終わりではなく、今度はどうやって販売すればよいかわからず、四苦八苦がつづいたそうです。いまでは北海道の道の駅や空港の売店などどこでも販売されていて、北海道観光の記念や土産話として旅行者に飲まれようになっています。バスガイドさんが広めてくれたのだそうです。私は柳生さんを訪ねて、はじめて本物の白樺樹液を味わいました。その印象は、ほとんど水感覚で、くせがなく、飲んだ後の口の中にほんのり甘みを感じるだけの、やや印象のうすい飲み物でした。
白樺樹液は雪をかき分けて採取する
白樺樹液を健康に役立てようと考えていたぷろろは、単なる飲み物としてではなく、その効用に重点をおいて、さらに研究をつづけました。寺沢先生にも面識を得て、以後SOD様活性などについていろいろ教えていただき、自信を深めました。そして白樺の樹皮や葉にも、ビタミンCやタンニン、サポニン、ベチュリン酸、フラボノイドなどの優れた成分が含まれていることが分かり、あえて樹皮と葉のエキスを抽出して白樺樹液に加えることにしました。こうして天然成分100%の「ぷろろ白樺の恵み」が完成したのです。エキスを抽出するのに必要な量の原材料の樹液と樹皮と葉を山形県の工場に送り、成分を損なわないように減圧低温蒸留装置に入れて蒸留し、そのエキスを再び北海道の工場に送り返してもらい、白樺樹液にブレンドして瓶詰めし「ぷろろ白樺の恵み」が独自ブランドとして完成したのです。年間在庫を確保し、保管・管理は北海道美深町で行い、年間を通じて全国に発送できる体制にしました。
ただ、白樺の樹木は本州でもよく知られていますが、「白樺樹液」を知る人はほとんどいなかったので、ネット通販では検索されないため、普及は簡単ではないことがわかったのです。そこで水の代わりに白樺樹液を使ったオーガニック化粧品を開発することを思い立ち、フロントエンドで化粧品を、バックエンドで白樺樹液を普及することにしたのです。柳生さんの紹介で、すぐに山形県庄内町のハーブ研究所に代表の山澤清さんを訪ねました。山澤さんは30年以上も農薬も化学肥料も一切使わない、きわめて厳格な基準でオーガニックハーブの栽培に打ち込んでいました。そのハーブと白樺樹液を融合させれば、素晴らしいオーガニック化粧品ができると考え、生産を委託したのです。
じつは山澤さんは、学校を卒業すると地元の農協に就職し、穀倉地帯の庄内平野に農薬とそれを散布する大型農業機械を販売する仕事に従事したのでした。農家では労働が軽減され、除草の手間もかからず、収量も上がって大いに喜ばれ、自分はいいことをしていると得意絶頂だったといいます。ところが10年ほどしたとき、子供の頃に一緒に遊んだ仲間たち、つまりカエルもドジョウもメダカもホタルも、小川や田んぼから消えていなくなったことに気づき、強いショックを受けます。農薬散布が彼らを絶滅させてしまったのです。しかも農薬を触った手で抱いた長男はアトピーを発症しました。とんでもないことをしたと気づいた山澤さんは、農協を潔く退職して熟慮のすえ、人生を180度転換し、農薬といっさい手を切ったのでした。それから30余年の間、農薬も化学肥料も一切影響のない最上川の河川敷や月山の麓の国有地を借りて開墾し、西洋ハーブの栽培を始めたのでした。農薬を使わない畑は雑草だらけです。収穫も地元の婦人たちの手摘みになります。植物を徹底して研究し、いまでは植物学者のごとくで、人間よりも植物の側からものごとを考えるようになったといいます。
山澤さんの無農薬ハーブ畑
山澤さんが手塩にかけて育てたものの一つに、黄からすうりという植物があります。昔から東北の農村女性が手荒れやあかぎれの手当てに使ってきた和製ハーブなのですが、農薬の影響で花粉を媒介するスズメ蛾がいなくなり、黄からすうりは全国から姿を消してしまっていました。そこで彼は仲間に呼びかけて山などに残っていた種を集めて、夕方から開花する黄からすうりの人工授粉に取り組んだのです。スズメ蛾に代わって延々と受粉作業をくり返し、6、7年もかけて再生栽培に成功したのでした。植物に与えるたい肥も家畜の糞は使わず、独自のオーガニック飼料で育てた1500羽ほどのハトの糞を3年ほど熟成させて、たい肥にしています。一般の家畜のエサには法的な定めがあり、狂牛病予防の薬や成長促進ホルモンが与えられるため、それらの成分が植物に吸いあげられるのを防ぐためです。鳥インフルを避けるための特別に工夫した施設で飼育しています。このオーガニックに徹した原料と白樺樹液をコラボさせれば、世界でもっとも安全・安心なオーガニック化粧品ができると、私は確信しました。水を一切使わず、代わりに白樺樹液を使い、ハーブとコラボさせたぷろろ化粧品はこうして誕生したのです。
減圧低温蒸留装置を説明をするハーブ研究所の山澤清さん
しかしぷろろ化粧品というブランドは、世間ではまったく無名でした。創業から4、5年は、プロモーションの失敗も重なって大赤字となり、倒産寸前に追い込まれました。ところが「捨てる神あれば拾う神あり」という諺のように、そのころ酒さ様皮膚炎を発症して悩んでいたYouTuberの方が、ぷろろ化粧品をYouTubeで紹介されたのです。どの化粧品も刺激になって使えなかった肌が、ぷろろ化粧品だけは何の刺激もなく使えたと感動して、それをYouTubeの動画に投稿されていたのでした。その動画を見た酒さ様皮膚炎に悩む人から、つぎつぎに注文が入ってきたのです。こうした人々の役に立つことが分かったので、酒さや酒さ様皮膚炎、敏感肌で悩む人々に向けてブログを書いて呼びかけていきました。白樺樹液は、白樺が根細胞を通過して吸い上げた水分なので粒子が小さいため浸透がよいので、合成の浸透剤を使う必要がなかったのがさいわいしました。いまやぷろろ化粧品のお客様の大半は、そうした悩みをお持ちの方々で占められるほどになっています。さらに本物のオーガニック志向の方々にひろく周知し役立てればと考えています。また白樺の恵みも、体内から保湿し、ターンオーバーを整え、シミやくすみなどの皮ふの改善と、お肌の健康づくりに役立ってきました。また80%の病気に関係するといわれる体内の活性酸素を除去する作用が、体内の浄化や、手術やガン治療後の方々のケアにも飲用され役立っています。期せずして天然成分とオーガニックにこだわったことが、お肌や健康のために役立つことになったのでした。
白樺樹液はいまや北海道美深町の町おこし事業にもなっています。毎年4月には「白樺樹液まつり」が町をあげて盛大に開催されます。北海道だけでなく全国から観光客が訪れるようになり、初日は町の公営施設で講演会や地元物産の販売、羊毛を使ったワークショップなどが催され、美深温泉施設で行われる前夜祭の歓迎パーティーでは婦人たちの手づくりの地元料理がふるまわれ、またアイヌの人々による民族舞踊なども披露されます。
毎年開かれる樹液まつりの風景
本まつりは町から20kmほどオホーツク海側に向かった仁宇布という場所の白樺林に、バスで移動して開催されます。またこの白樺まつりにあわせて、5年に1回、国際樹液サミットが開催されてきました。寺沢教授が中心になって海外から樹液研究者や事業関係者を招き、町の実行委員会によって催されてきました。当初はこの片田舎町に世界各国からお客様を迎えて、言葉や食事の問題などもあり大変だったといいます。しかし町のみなさんが一体になっておもてなしをし、成功させたのでした。2015年には、ぷろろ健美堂もシンポジウムでパネラーとして招待を受け、討論に参加しました。
シンポジウムで講演する寺沢名誉教授
またぷろろはこのところ不思議な体験と幸運にも恵まれました。東日本大震災で原発事故が発生した際、農畜産物をはじめとする放射能汚染が全国的に大きな社会不安を引き起こしました。ぷろろもお客様からの問い合わせが相次ぎ、影響が心配されたのですが、さいわい白樺樹液もオーガニック化粧品も、まったく放射能の影響を受けることはありませんでした。白樺樹液は汚染とは無関係の北海道北部で採取・生産しており、化粧品は山形県庄内町という日本海側の秋田県境に近い北部だったので、放射能の影響をまったく受けずに済んだのです。太平洋側に位置する福島県の放射能は、東北地方を縦貫する奥羽山脈に遮られて、これを越えることがなかったのでした。
また最近でも、ロシアのウクライナ侵攻により、日本とロシアの関係がこじれていますが、輸入を断念し北海道での生産に切り替えたことで、まったく影響を受けることがありませんでした。振り返ってみると、ぷろろは意図せず、なにかに導かれるように今日に至ったように思われます。こうしてご利用者の皆さまに安心して使用いただけていることは、本当にうれしく感謝のほかはありません。ご利用者のみなさまにとってぷろろは単なる化粧品やドリンクの購入先に過ぎないかもしれませんが、ぷろろはご利用者のみなさまを単なる一元のお客様とは考えておりません。筆者は協同組合運動の出身なので、ご縁をいただいた方々はみんなぷろろの仲間であり、家族の一員だと考えています。仲間や家族の生活と健康の役に立つことが何よりのよろこびでありしあわせなのです。これからも関係者一同、初心を忘れず、ぷろろはより多くのみなさんの健康と美容のお役に立つことを願って精進してまいります。(おわり)
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今回は「オーガニック化粧品の真実」について
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クレオパトラや楊貴妃はオーガニック化粧品だった!!
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