合成添加物だらけの化粧品
スーパーの化粧品売り場には、たくさんのメーカーの化粧品が並び、若い女性たちが商品を手に取って真剣な眼差しで睨めっこしています。ラベルに目をこらすと、合成界面活性剤や合成ポリマー、保湿剤、防腐剤など、カタカナやアルファベットがびっしりと書かれています。時代の流れとはいえ、私たちの生活は合成添加物から逃れられないのだとつくづく実感じます。これらの成分は、製品の使用感や品質を向上させるために利用されますが、長期間の使用は肌や健康に悪影響を及ぼす可能性があるので注意が必要です。
添加物のこわさを伝える人生へ転換
「添加物の神様」と呼ばれ、「なにを食べたらいいの」など食品添加物に関する著書もたくさんある安部司さんという方がいます。ある日、阿部さんが自宅に帰ると、孫娘がスーパーで買ってきた肉団子を美味しいおいしいといって食べていたそうです。それをみた安部さんはゾッとしたといいます。それは自分が開発した肉団子だったからです。廃棄処理寸前のクズ肉をミンチにして添加物の粉を加えると、色も味も抜群の美味しい肉団子になり、全国でヒット商品になっていたのです。この出来事がきっかけで、安部さんはきっぱりと会社を辞め、人生を１８０度転換させて真逆の立場の人になったのでした。いまでは食品添加物の恐ろしさを伝えるために、全国で講演活動や食品添加物の実験をして啓蒙活動をしています。添加物は化粧品にもごく当たり前に使われています。
阿部司氏の著書
化粧品に添加できる基準
厚生労働省は、化粧品に含まれる合成添加物の使用を規制しています。これは、添加物が人体に与える潜在的なリスクを考慮しているからです。化粧品には、薬事法化粧品基準で「ネガティブリスト」と「ポジティブリスト」というものがあります。化粧品の開発・販売、輸入をするものは、それにしたがって届け出をしなければなりません。ネガティブリストとは、化粧品に配合することが禁止されるものを定めており、ポジティブリストは、多種多様な防腐剤、紫外線吸収剤、タール色素などを100 g中にどれだけ配合できるかの許容限度を定めています。たとえ微量でも合成成分は体内で分解できないので、長い年月には蓄積し、細胞を傷つけ、肝臓や腎臓に負担をかけ、ガンをはじめ様々な病気の原因になっています。
人と共生する有用な細菌がある
肌や体はバイオバランスと呼ばれる微生物の共生関係によって健康を維持しています。有用な腸内細菌はその代表的な例です。味噌や醤油、お酒は、そもそも酵母菌や麹菌がなければ醸造ができません。化学成分を含む化粧品は、このバイオバランスを乱す可能性があります。細菌はすべてが悪者なのではなく、人に有用不可欠な菌たちがいるのです。防腐剤とは殺菌剤でもあり、これが食べ物といっしょに体の中に入るとどうなるでしょうか。お腹の中のビフィズス菌は死滅し、肌に住んでいる善玉菌は一網打尽になります。これらの有用な菌がいなくなれば、腸内環境は悪化し、免疫力は低下し、肌の悪玉菌は増殖します。人間と共生関係にある菌は、体内環境や肌の健康に重要な役割を果たしています。その一つが肌を守ってくれている表皮常在菌です。
ケミカル化粧品はバリア機能を壊す
ところがケミカル化粧品は、美容成分を肌の中に送り込むのにバリア機能が邪魔になり、合成界面活性剤を使って壊しています。バリア機能が壊れると表皮常在菌はいなくなり、肌の水分は蒸発して、大気中のアレルギー物質が侵入してしまう可能性が高まります。それが敏感肌や酒さを発症する原因になります。酒さの治療のために処方されるステロイド後遺症で、酒さ様皮膚炎になり苦しんでいる人が大勢います。病院の薬でもどうにもならず、慢性化・悪化がすすんでしまう不安は、本人でなければ理解できないかもしれません。症状がひどくなると、肌はバリバリに乾燥しているのに、化粧水もみんな使えなくなり、水洗顔でさえヒリヒリして痛むようになります。
孤独との闘いを強いられる酒さ様皮膚炎
酒さ様皮膚炎を患うと、社会生活に支障をきたすことがあります。薬による治療が難しく、外見や健康上の問題に直面し、社会的な孤立や心理的な負担を抱えることになります。対面の仕事の人は、休職に追い込まれたり、退職を余儀なくされたりすることも少なくありません。それがやがてうつ病を発症し、外出も億劫になって疲れ果ててしまいます。決して大げさに言っているのではありません。いまやそういう人が想像をはるかに超える数にのぼっています。横のつながりがないので、「どうして自分だけが」と孤独にさいなまれるのです。こうした人たち同士の情報交換の場が必要だと痛感しています。改善するためには、ケミカル成分を含む化粧品や薬をキッパリやめて、天然成分100%の化粧品で保湿することです。そうすればどんどん良くなっていきます。酒さ様皮膚炎の改善には、化粧品だけでなく、腸内環境も影響するので、食品添加物を含む食べ物にも十分気をつける必要があります。
