完全オーガニック派向

オーガニックコスメの原料である植物とその成分

ブルーベリー

化粧品づくりに必要な成分

大地で育った植物を主原料にして作られるオーガニックコスメが、いま乾燥や肌荒れに悩む女性たちの間で人気です。農薬の影響などの心配がなく、「安全」で「安心」であることや、肌にやさしそうなイメージが支持を得ているようです。しかし実際にどんな植物が使われ、それがどんな働きをするのかなど、案外知られていないことも多そうです。大要を理解して、真正なオーガニックを選別する目を養いましょう。

まず化粧品には、どんな目的の成分や作用が必要なのでしょうか。
① 界面活性剤 (洗浄とクリームなどを乳化するため)
② 防腐剤 (化粧品が腐敗しないように長持ちさせるため)
③ 保湿剤 (肌に水分を留めて蒸発を抑えるため)
④ 油剤 (クリームや乳液のベースオイルとして)
⑤ 色素 (好ましい色に着けるため)
⑥ 香料 (心地よい香りを整えるため)
⑦ 溶剤 (植物エキスを抽出するための液体)
このほか、整肌、潤滑、紫外線対策、Ph調整、吸着、消炎、美白、増粘、収れんなどの目的で、追加配合される成分もたくさんあります。

伝統的に安全な植物成分を使用

問題はこれらの働きを、石油由来の合成成分でまかなうのか、天然由来の植物原料でまかなうかで、大きな違いが生れます。化学成分はもともと自然界にはなく実験室で作られた成分であり、天然成分は大昔からずっと自然界に存在していたものです。
オーガニック化粧品には植物原料(若干の動物や鉱物原料も)が使われます。ただ植物なら何でもよいわけではありません。なかにはトリカブトのように有毒な植物もあります。人々が昔から営々と伝統的に使用してきて、肌のためによいとされてきた安全性の高い、美容効果のある植物が使われます。これが自然派や天然化粧品の一般的な方向性です。

日本では昔から、米ぬか、ヨモギ、椿油、びわ葉、はとむぎ、などが化粧や肌ケアに利用されてきました。米屋のおかみさんは米ぬかを扱うので手がきれいだといわれてきました。またヘチマ水は「美人水」とも呼ばれ、日本の代表的な美容素材でした。こうした美容植物は世界中に存在しています。エジプトやヨーロッパではバラや各種ハーブが用いられてきました。

ローズマリー油

植物成分は原材料名で表記される

ただ自然派化粧品とはいっても、合成成分が主体で植物成分が少し配合されたものや、主として植物成分の中に合成成分が使われているものもあるのです。肌トラブルがある場合には、微量でもどんな成分が使われているのか、見極めることがとても大事になります。

合成成分は、基本的に一つの成分で一つの働きを受け持ちます。このためケミカルコスメではカタカナやアルファベットの成分名がたくさん列記され、個々の成分の具体的な役割はよく分からないのが実情です。これに対して、植物原料は、化学的な長い成分名ではなく、「オリーブ油」のように原材料名で表記されます。その中にはたくさんの成分が含まれ、何となくイメージできるのが特徴です。

オーガニックコスメに使われる成分

オーガニック化粧品では、それぞれの作用を実現するのに、およそ次のような植物原料(天然原料)が使用されることが多く、頭の隅に覚えておくと便利です。
① 界面活性剤:石けん素地、大豆から得られるレシチン、ヤシ油脂肪酸カリウム、ムクロジ、シャボン草、ラノリン、イナゴ豆エキスなど。
② 防腐剤:ローズマリーエキス、熊笹エキス、ヒノキチオール、トコフェロール、エタノール、グレープフルーツ種子エキス、天然ビタミンEなど
③ 保湿剤:ホホバ油、みつろう、スクワラン、ひまし油、アロエベラ葉エキス、白樺樹液、ヘチマ水、オリーブ油、パーム油、トウキンセンカエキスなど
④ 油剤:オリーブ油、ヒマワリ油、ゴマ油、ホホバ油、ひまし油、大豆油、アーモンド油、つばき油、カカオバターなど
⑤ 色素:クチナシ、紅花、βカロチン、ルチン、カカオ色素、しこん、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタン、カルミンなど
⑥ 香料:ラベンダー油、ローズ油、ゼラニウム油、カモマイル油、ダマスク花油など
⑦ 溶剤:エタノール、水、植物オイル(ヒマワリ油、オリーブ油、ゴマ油など)

個々の原料には無数の成分が含まれ、複合的な作用を兼ねるのが一般的です。例えば、ラベンダーエキスには、芳香成分や糖類などのほかに何百もの有機化合物が含まれ、すべてを取り出して列記することは不可能です。また現状の科学では個々に含まれる全成分が解明しきれていません。これは他の植物成分についても同じです。
西洋薬では効能が「胃薬」「頭痛薬」などのように単一に作用しますが、植物が原料の漢方薬では効能が多岐にわたって書かれるのはこの複合性によります。オーガニック化粧品の成分名には、植物成分名が数個しか書かれていないことが多いのは、それは原材料名であって、化学的な成分名ではなく、分解すればその成分は無数にのぼるのです。

植物由来でも注意したい合成成分がある

植物由来の成分でも、じつは植物から合成される化学成分というものがあります。これは植物の特定の成分だけをとりだして化学的に合成したもので、自然界にはない成分です。植物由来という言葉だけで安心できないのはそのためです。例えば、合成界面活性剤では、シャンプーなどに用いられるヤシ脂肪酸ソルビタン、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン、リノール酸グリセリル、ステアリン酸ソルビタンなどがこれに当たります。
また世界のオーガニック認証機関の認定を得ている化粧品であっても、ほとんどは5%程度の化学成分の使用を認めています。微量であっても肌にはアレルギー成分であったり、環境ホルモンの疑いがもたれているものもあり、手放しで安心はできないのが現状です。日本には、一切の化学成分の混入を認めない100%のモアオーガニックを標榜する中小メーカーも現れています。大手には真似のできない頼もしく貴重な存在です。

石油由来の化学成分は長く使うあいだに肌のバリアを壊して乾燥肌や肌トラブルの原因になりますが、オーガニック植物は肌本来のバリア機能やターンオーバーの乱れを修正し、肌本来の働きを助けて、20年後、30年後も健康で美しい肌をキープできるようにするのが特徴です。その植物が進化の過程で備えた抗酸化力や偉大なパワーを、人のために生かして作られるのがオーガニックコスメだからです。